飲食店の肉仕入れガイド|単価だけでは分からない、料理と利益を変える選び方

同じ200gのロースでも、分厚いとんかつになる肉と、薄く大きなとんかつになる肉があります。
理由はシンプルです。ロースの断面が大きければ、同じ重量で切り出したときに薄くなる。断面が小さければ、厚みが出る。つまり「ロースを200gで」という注文だけでは、料理の形まで決まらないのです。
肉の仕入れには、こうした違いが数多くあります。安いブロックを買っても、筋取りに時間がかかる。評判の銘柄豚でも、自店の調理では脂が重く感じられる。品質も価格も魅力的なのに、納品が仕込みに間に合わない。
肉の仕入れは、食材を買う作業であると同時に、料理と厨房を設計する仕事です。
この記事では、食肉専門卸への取材と飲食店との商談をもとに、牛・豚・鶏を仕入れる際の考え方を紹介します。
肉の値段は、どこまで加工してあるかで意味が変わる
肉の価格表を見るとき、最初に確認したいのは「何の肉か」だけではありません。「どこまで手が入っているか」も重要です。
骨付きなのか、骨を外した部分肉なのか。筋や余分な脂が残るブロックなのか、そのまま切り出せる状態なのか。スライス済みなのか、1食分ずつ分けてあるのか。
加工が進むほど、仕入れ先での作業が増えます。一方、店舗で必要な下処理は減ります。
例えば、安いブロックを仕入れて自店で成形する方法は、肉を扱えるスタッフと仕込み時間があれば有力です。しかし、忙しい厨房で料理人が毎回筋取りをするなら、加工済み商品の方が営業に合う場合もあります。
仕入れ単価の差には、厨房で引き受ける仕事の差も含まれています。
「安い方を選ぶ」前に、その肉が届いてから皿に載るまで、誰が何をするのかを考えてみましょう。
牛肉は、格付けより先に「どんな一皿にするか」を決める
牛肉の仕入れでは、和牛、国産牛、輸入牛、銘柄、格付けと、多くの情報が並びます。選択肢が多いからこそ、料理の完成形から絞ることが大切です。
焼肉で脂の口どけを楽しんでもらうのか。ステーキで赤身の食べ応えを出すのか。煮込みで肉の存在感を残すのか。それぞれに必要な部位と規格は違います。
和牛を看板にしている店なら、「少し安い別の肉」への変更が、お店の価値を下げることもあります。逆に、すべての料理に同じ高価な規格を使う必要があるとも限りません。
主役の一皿で守る品質と、日常のメニューで調整できる条件を分けると、仕入れの選択肢が広がります。
同じ「牛バラ」でも、料理で評価は変わる
カレー用の牛肉を相談した商談では、脂の多い部位から、スネなどの別部位を検討する話になりました。
単価だけを見ると魅力的でも、長時間煮込んだときに脂が多く出たり、想定した肉の形が残らなかったりすれば、料理に合っているとは言えません。
確認するのは、加熱前の見た目だけでなく、調理後の食感と重量です。いつものレシピで作り、「何食取れるか」「食べたときにどう感じるか」まで比べて初めて、価格の意味が見えてきます。
牛肉の専門情報は、牛肉仕入れのガイドも参考にしてください。

豚肉は、脂と形を選ぶと料理が変わる
豚肉は、とんかつ、チャーシュー、生姜焼き、角煮、カレーと、さまざまな料理の主役になります。使いやすい食材ですが、部位ごとの違いは小さくありません。
ロースは赤身と外側の脂、肩ロースは入り組む脂と肉の構成、バラは赤身と脂の層を生かす部位です。ヒレは脂が少なくやわらかく、モモやウデは切り方と加熱方法を合わせて使います。
ここで大切なのは、「その部位の評判」より「自店でどう仕上がるか」です。
バラの脂が角煮にコクを出しても、別の料理では多すぎることがあります。肩ロースのチャーシューに変えれば、赤身と脂のバランスが変わります。それは単なる代用品ではなく、料理の方向性を変える選択にもなります。
厚切りとんかつの仕入れは、枝肉の選別から始まる
今回取材した専門卸は、部分肉になる前の枝肉を見て、重量、体型、背脂、肉色、締まりなどを確認すると説明していました。
飲食店向けには78〜85kgを目安にするという話もありましたが、重量だけで決めるわけではありません。同じ重さでも体型が違えば、切り出される部位の大きさは変わります。
厚切りとんかつを作りたいなら、「200g」に加え、厚み、断面の大きさ、脂の残し方まで相談する。料理の写真を見せるのも有効です。
専門卸の目利きは、銘柄や等級だけでは表せない、料理との相性を探す仕事でもあります。
なお、三元豚は交配に関する情報、銘柄はブランドに関する情報です。また、SPF豚は無菌豚ではなく、適切な加熱が必要です。名前だけで食味や安全性を判断しないようにしましょう。
詳しくは、業務用豚肉の仕入れガイドで解説しています。

鶏肉は、毎日の小さな違いが原価に積み重なる
鶏肉を多く使う店では、1回の仕入れ価格だけでなく、日々の扱いやすさが重要です。
もも肉かむね肉か。皮付きか皮なしか。丸ごとの部位で届くのか、唐揚げ用にカットされているのか。冷凍品なら、1袋を一度に使い切れるのか。
同じ「鶏もも肉」でも、カットサイズがばらつけば、火の通り方や盛り付けが揃いにくくなります。切り直しが必要なら、その分だけ厨房の仕事が増えます。
提供数が多い料理ほど、1食の使用量を揃えることが原価管理につながります。試作では味だけでなく、切り分けや盛り付けのしやすさも確かめましょう。
チルドと冷凍は、優劣より使い方で選ぶ
「おいしさを重視するならチルド、安さを重視するなら冷凍」と考えると、選択肢を狭めてしまいます。
チルドは解凍せずに使える一方、使用量と納品頻度を合わせる必要があります。冷凍は計画的な在庫を持ちやすい一方、解凍時間と保管場所を確保しなければなりません。
比較すべきなのは、仕入れた状態だけでなく、実際に使う状態です。
・解凍後にどれだけドリップが出るか
・下処理と加熱後に何食分残るか
・いつもの調理で食感がどう変わるか
・冷蔵庫・冷凍庫に無理なく収まるか
国産にも冷凍品があり、輸入にもチルド品があります。産地と保存状態を混同せず、商品ごとの条件で判断してください。
また、温度管理は仕入れ先だけの仕事ではありません。納品後の保管と解凍、調理までつながって初めて、肉の品質を生かせます。
仕入れ先は、価格表に出ない条件で差がつく
ある焼肉店では、発注できるのが夜遅く、冷蔵庫も小さいため、納品までの日数が切り替えの障壁になっていました。
別の店舗では、肉屋を増やすと発注担当が迷うので、多くても2社にしたいという声がありました。
どちらも、肉の単価を下げるだけでは解決できない課題です。
自社便か宅配便か。注文締切は何時か。何曜日の何時頃に届くか。最低ロットはどれくらいか。困ったときに誰へ連絡するか。
お店にとって使いやすい仕入れ先とは、商品が良いだけでなく、営業が無理なく回る仕入れ先です。

品質/配送/加工/発注/対応
この5つを、現在の仕入れ先と候補先で並べてみましょう。単価の差だけでは見えなかった、切り替える理由と残す理由が整理できます。
仕入れを変えるなら、まず一品を同じ条件で試す
肉の仕入れを全部まとめて変更すると、味、作業、配送のどこで違いが出たのか分かりにくくなります。
まずは、改善したい一品から比較するのがおすすめです。
今の肉と候補の肉を、同じレシピ、同じ提供量で調理する。購入額、下処理後の重量、加熱後の重量、作業時間を記録する。最後に、料理としての味と見た目を確かめます。
試験購入の条件と、通常注文の条件が違う場合もあります。少量で試せても、継続時にはケース注文が必要なら、保管と使用量が合うかを確認してください。
安くなったかだけでなく、味を守れたか、仕込みが楽になったか、営業に間に合ったか。そこまで見て、採用を決めましょう。
ラクシーレに相談するときは、料理の話からで大丈夫です
「このメニューに合う肉を探したい」「今の加工が続けられなくなった」「品質を守りながら原価を見直したい」。
肉の正式な規格名が分からなくても、相談を始めることはできます。
ラクシーレでは、使っている商品や料理、使用量、納品条件を伺い、対応する専門卸や候補商品を確認します。商品写真、ラベル、納品書があれば、比較を具体的に進めやすくなります。
加工、配送、試験購入の対応範囲は商品・提携先によって異なります。発注や支払いの集約についても、契約条件を確認します。請求書が必ず1枚になるわけではありません。
肉の仕入れを見直す出発点は、「もっと安い肉」だけではありません。「もっと自店の料理と厨房に合う肉」も、探す価値があります。
まずは、使っている部位、週の使用量、困っていることをお聞かせください。
電話:0120-23-1831
受付:9:00〜17:00/月〜土